おしながき

さわらの切落しの南蛮漬け


サワラ(鰆、狭腹) 学名:Scomberomorus niphonius
スズキ目サバ科に属する海水魚の一種

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時折、両親が送ってくれるものに「鰆(さわら)の西京漬け」がある。

このお店の鰆は肉厚でとても美味しくて、わが家の大好物のひとつ。😋



そんな鰆の西京漬けに今回は「切り落とし」がついていた。

西京漬けの切り身を作るときにできる半端な部分だが、といっても肉厚で美味しそうである。
(実際食べて美味しかった)

当たりのおまけみたいで得した気分☆彡




さて 「切り落とし」ってなんだろう?

辞書で調べてみると大きく二つの意味があるようだ。

一つは私たちが普段イメージするように「切り落とすこと、切り落としたもの」「肉や魚などを切り分ける際にできる、半端で形のそろわない部分」を指している。

もう一つは、江戸時代の歌舞伎劇場にあった観客席の区画名である。

参考:デジタル大辞泉(小学館)




歌舞伎の「切落し(きりおとし)」について『ブリタニカ国際大百科事典』は次のように説明する。

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江戸時代の劇場の大衆席の一つ。

正徳、享保年間 (1711~1736) 頃は舞台の前端から後方の左右に通じる通路(歩み)までの1階正面の席であった。

享和年間(1801~1804)頃には、ここに方形の仕切桝(しきります)ができて、切落しは花道の後方脇にわずかに残り、文化年間(1804~1818)以後には消滅した。

切落しの名称の由来は、両側の上等席である桟敷よりは一段と低く落ちていたからだといわれるが確証はない。

切落しへは、入口の仕切場(しきりば)で、座名の焼き印を押した切落札(一種の切符)を買って入ったが、江戸時代中期で132文であった。
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上は江戸時代の中村座の観客席平面図だが、赤い部分が「切落し」にあたる。

江戸東京博物館に江戸後期・中村座の復元模型がある。芝居小屋の内部を動画で見ることができるので興味があればぜひWebサイトを覗いてみて☆彡

動画の再生 「E9 芝居と遊里 7 芝居小屋の構造」👀
切落しが登場するのはタイムコード2:15~2:32




ちなみに、戦後「切り落とし」という言葉を牛肉の商品名に用いたのは「肉匠もりやす」であるそうだ。
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昭和48年当時、店主の森安常義が神戸最古の牛肉店にて辣腕を奮っていた時に、「上質なお肉を手頃な値段で、食べていただきたい」という思いで、現在の切り落としを商品化、当初は黒毛和牛切込みという名称で世に送り出しました。
その後、黒毛和牛切込みは黒毛和牛切り落としと名称を変え、肉匠もりやすの思いそのものとして現在に受け継がれています。
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出典:肉匠もりやす「切り落としのルーツを作った匠の店


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今日はこれを南蛮漬けに☆彡


日本の食卓に うましかて!



枇杷とココナッツミルクのお汁粉


しるこ【汁粉】
小豆あんを汁状にし砂糖を加えて煮たものに焼き餅 (もち) や白玉団子などを入れた食物。御膳 (ごぜん) 汁粉・田舎汁粉など。汁粉餅。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

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江戸時代の『料理物語』に「すすりだんご」という食べ物が紹介されている。

もち米とうるち米の粉を6:4で合わせて水でこね、むくろじほどに丸めたものを小豆の「しぼりこ」でよく煮て、塩で味つけをしてから、最後に白砂糖をかけるとある。


出典:国立国会図書館デジタルコレクション
雑芸叢書.第1(料理物語)


「むくろじほどに丸め」と表現されているのは、無患子(むくろじ)というムクロジ科の落葉高木だろう。

実の大きさは直径2cmにも満たないから、今の団子のイメージからするとずいぶんと小ぶりな団子である。

現代ではあまり馴染みのない木だが、江戸時代は料理書で喩えに用いられるぐらいだから身近なものだったと思われる。


(以前、夏に雑木林でひろった無患子)



無患子の果皮にはサポニンが含まれていて、石鹸代わりになったようだ。



果皮をむくと中に黒く堅い実が入っている。

これに羽をつけたものが、お正月の「羽根突き」の羽根である。


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今日はココナツミルクと枇杷のコンポートで冷たいお汁粉を作ろうと思う。



まずは団子づくり

白玉粉、上新粉、もち粉、だんご粉、違いがよくわからないまま、「だんご粉」なら団子を作れるのだろうと思い買ってきた。




せっかくなので違いを調べてみる。🤓

●白玉粉 (もち米)
粒子が細かく、だんごに使うとつるっとなめらかな食感になる。冷やしても固くならない。
水を加えて混ぜ、成形し、お湯でゆでる。

●上新粉 (うるち米)
熱湯を加えて練ると餅のような歯ごたえのある食感になる。
お湯で練り、一度蒸してつき、成形する。

●もち粉 (もち米)
キメが細かくなめらかな生地になる。
水を加えて混ぜ、成形し、お湯でゆでる。

●だんご粉 (うるち米・もち米)
コシが強めのだんごになる。柔らかくなりすぎない。
水を加えて混ぜ、成形し、お湯でゆでる。




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「すすりだんご」のレシピではもち米とうるち米が6:4とあったから、だんご粉が一番近い。


(写真の白い粉は餅とり粉がわりの片栗粉)



丸めた団子を沸騰したお湯に入れて


浮き上がってきてからしばらく茹でて


すくって冷水にとって冷ます。


枇杷のコンポートと砂糖を加えたココナッツミルクを加えたら出来上がり☆彡

見た目は悪くないのだが、団子の仕上がりが粉っぽくなってしまい残念な結果に・・ 次は頑張ろう😋



日本の食卓に うましかて!


鱧(はも)の落とし


ハモ(鱧) 学名:Muraenesox cinereus
ウナギ目ハモ科に分類される魚の一種

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2018年(平成30年)7月11日(水)🌞

梅雨があけてからというもの猛暑日が続くなか、この日スーパーの鮮魚コーナーには鱧がずらりと並んでいた。

美味しそうだなぁ・・ と眺めていたら、背後から年配の女性の声が聞こえてくる。


  “ 今日はほこたての日やからなぁー ”




「鉾建て(ほこたて)」は祇園祭りの行事のひとつ。

山鉾の土台を組んで真木(しんぎ)を立てる作業で、毎年7月10日~7月14日に行われる。


出典:KYOTO design「山鉾の構造


地上から鉾のてっぺんまで高さは25メートル!

小学校のプールと同じ長さを垂直に立てるのは大変な作業だ。



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関西の夏の味覚には

鮎(あゆ)、鮑(あわび)、鱸(すずき) さまざまあるが庶民的なご馳走はやはり「鱧(はも)」


祇園祭りは「鱧(はも)祭り」とも呼ばれる。

明治・京都生まれの北大路魯山人は次のように言っている。

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洋食の流行する以前の京・大阪の子どもに、「どんなご馳走が好きか」とたずねると、「たい」と「はも」と、必ず答えたものだ。

それほど、たいとはもは京阪における代表的な美食だった。
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魯山人味道』-鱧- 北大路魯山人





春に鯛、夏は鱧
平成の子どもたちは鱧が好きだろうか。

この夏が「平成」最後の夏になると思うと感慨深い。




今日は「鱧の落とし」
(若くてすらっとしたものを買ってきた)



鱧の落としに梅を添えて☆彡


日本の食卓に うましかて!



鮎の塩焼き


アユ(鮎) 学名:Plecoglossus altivelis altivelis
キュリウオ科 アユ亜科 アユ属

毎年夏になると一度はBlogに掲載する鮎。

今回は何を書こうかと考えて… 「鮎」という漢字の由来を取り上げてみようと思う。

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「魚」に「占う」と書いて「鮎」

この字は古事記と日本書紀に記された神功皇后のエピソードに由来するという説がある。


以下、天皇の料理番・秋山徳蔵氏のエッセイから引用する。

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鮎という字は日本でできたものだそうだ。そのいわれは古事記や日本書記に出ている。



神功皇后が新羅征伐におでかけになったとき「火前国(ひのみちのくに)松浦県に到りて、玉島里の小川のほとりにて針をまげて鉤(ち)をつくり粒を餌とし、裳(みも)のいとすじをぬきとって釣り緒とし、河中の石に登って鉤をなげ」 …

もし事が成るならば、魚を釣らせ給え

と神に祈って竿をあげると、細鱗魚(あゆ)がかかってきた。

皇后は大いに喜ばれて征途につかれたが、その占いはまさに的中して大いに勝利をおさめられた。

その故事によって、後世「占う魚」即ち鮎という字を作ったということである。
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     🐟

魚が釣れたら万事うまくいく!と念じながら… 釣り糸を垂らしてみたら、アユが釣れた!

占いの結果通り、戦いは大勝利。🎉



画像:Wikipedia commons
歌川国芳『賢女八景』 筑紫帰帆の神功皇后


ゆえをもって、占う魚=「鮎」と書くようになったという話である。


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尚、中国では「鮎」=ナマズであるようで、秋山徳蔵氏は次のように締めくくっている。

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中国の鮎とはナマズのことなのだそうである。

アユとナマズ、あまりにも対照的な魚ではないか。それがまた、日本と中国という国がらを実によく象徴しているようで、考えさせられるものがある。
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味の散歩』秋山徳蔵

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今日は鮎の塩焼き☆彡


日本の食卓に うましかて!


空心菜の炒めもの


ヨウサイ(蕹菜) 学名:Ipomoea aquatica
ヒルガオ科サツマイモ属の野菜

東南アジア原産。茎のなかが空洞であることから中国では「空心菜(拼音:kōngxīncài)」という。

日本では標準和名の「ヨウサイ」より「空心菜(くうしんさい)」として知られている。

「エンサイ(蓊菜)」「アサガオナ(朝顔菜)」、沖縄では「ウンチェー(蕹菜)」「ウンチェーバー(蕹菜葉)」とも呼ばれる。





ヒルガオ科に属するだけあってアサガオやヒルガオのような可憐な花をつける。

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京都では「筒菜(つつな)」と呼ばれていて、初めは何だろう?と思ったが・・ なんのことはない空心菜のことであった。


こういうところ京都らしくもありマーケティングがうまいところでもある。


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葉っぱの形はサラダほうれん草やベビーほうれん草にも似ている。



英語では「Water Spinach(水ほうれん草)」「Water Morning Glory(水朝顔)」などと呼ばれる。

Waterがつくのは、空心菜が水辺に生育するためである。

茎の空洞は水面をはって伸びるためのフロート的な(浮袋)役割をするらしい。





今日は空心菜の炒めもの☆彡



茎の部分から炒めて、葉っぱの順に



中華スープの素とオイスターソースで風味づけ☆彡


日本の食卓に うましかて!