本を出版しました!



いつもお立ち寄りくださりありがとうございます。
おかげさまで、当ブログを始めてもうすぐ満5年を迎えます。

これを機に電子書籍を出版いたしました。


内容は全編書き下ろしとなっています。また、ブログ未掲載のお料理もいくつかありますので、是非お手にとってみて頂けましたら幸いです。






明治・大正生まれの日本人の文筆家を中心に、作家・詩人・料理家・実業家など、食にまつわる様々な方たちのエピソードを季節の料理に添えました。

amazon(Kindle版)でご購入頂けます。四季折々料理のトリビアを味わって頂けましたら幸いです。

*目次*

1月 お煮しめ
   鱈のムニエル・レモンバターソース
   鶏そぼろと湯葉の茶碗蒸し
   うさぎのトマト煮込み
2月 たぬき汁
   釜めし風 牛肉の炊き込みご飯
   帆立のフライ
   飯蛸とわけぎの辛子酢みそ
3月 野蒜のぬた
   おからの炊いたん
   天ぷら茶漬け
   ビーフバーガー
4月 トーストの朝食
   わらびの酢のもの
   葉ごぼうのめはりずし風
   スパゲッティ・ナポリタン
5月 ホワイトアスパラガスのごま和え
   筍ご飯
   肉じゃが
   ぬか漬け
6月 はたはたの干もの
   昆布と実山椒の佃煮
   ひらめの昆布じめ
   焼きさば寿司
7月 栄螺のつぼ煮
   柿の葉ずし
   茄子の南蛮漬け
   冬瓜の小海老あんかけ
8月 カレーライス
   グリーンサラダ
   かつ丼
   すき焼き
9月 すだちとクレソンと焼き塩さばのサラダ
   まながつおの幽庵焼き
   長芋の酢のもの
   秋刀魚の塩焼き
10月 煎り雲丹の混ぜご飯
   松茸の土瓶蒸し
   いくらの醤油漬け
   栗の渋皮煮
11月 干し柿のなます
   かぼすと鯖フレークのスパゲッティ
   生牡蠣
   里芋と干し椎茸の煮もの
12月 鴨鍋
   せこ蟹ご飯
   菊花かぶ
   新橋の立ち食いそば風 温かい湯葉そば



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→ 『好奇心がいっぱい 季節の料理散歩



どうぞよろしくお願いいたします。💐


分葱(わけぎ)と油揚げのぬた


ワケギ(分葱) 学名:Allium × proliferum
ネギ属の球根性多年草

学名はAllium x wakegi Araki (1950)、A. fistulosum L. var. caespitosum Makino とも同義であるようだ。

          ◇

わけぎは「分葱」、分ける葱と書く。その字のとおり球根が分かれて増える栄養繁殖性だ。

ワケギはネギとタマネギの雑種で、ネギはネギでも種子をつけるネギとは種(species)が違う。



関西から北陸にかけて一部の地域では「ひともじ」とも呼ばれ、女房詞(にょうぼうことば)に由来する。

女房詞でネギのことを「き」という、「き」という言葉が一字であることから「ひともじ」という呼び名ができたらしい。



女房詞というのは後土御門天皇(室町時代の第103代天皇)の御代に禁中の女房が使い始めた言葉で、その特徴のひとつに字を省いて「もじ」をつける傾向がある。

例えば、浴衣のことを「ゆもじ」(ゆかた-かた+もじ=ゆもじ)、「しゃもじ」(杓子-くし+もじ=しゃもじ)と呼ぶのはその一例だ。

葱を素直に当てはめると、ねぎ-ね+もじ=ねもじ となりそうだが… 🤓


他にも説があって、生える姿が「人」という字に似ているから「人文字(ひともじ)」と呼ばれるようになったとする説もある。


参考:『芽の味覚』金井紫雲(昭和22)、デジタル大辞泉(小学館)「一文字」、『明治諸礼式』礼法実習会(明治42)、霧島酒造株式会社「ひともじのぐるぐる




江戸時代中期・摂津生まれの与謝蕪村は次のような句を残している。

  ひともじの北へ枯伏す古葉哉  蕪村




茹でるとさらに緑が鮮やかだ。



今日は油揚げと一緒に酢味噌和えに☆彡



日本の食卓に うましかて!


飯蛸とわけぎのぬた


イイダコ(飯蛸、飯章魚) 学名:Octopus ocellatus または Octopus fangsiao
マダコ科マダコ属に分類されるタコのひとつ

春の野山にふきのとうが芽吹けば、海にも春がやって来る。

🌿

瀬戸内の海に春を告げるものといえば、わかめ・いかなご・さより・さわら・はまぐり、色々ある。

いいだこ(飯蛸)もそのひとつで、毎年2月になると父がそろそろ飯蛸を送ろうか?と聞いてきてくれる。昨年は不漁だったが、今年はまずまず獲れているそうだ。


過去Blogはこちら👀
→ 2018年 2017年 2015年

     ◇



飯蛸の説明について、辻嘉一氏の説明を借りてみよう。

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イイダコは、タコの中でもっとも小さいもので胴体二、三センチ、触脚四、五センチぐらいであり、背と両眼の間に蒼黒い斑点があって、常に三、四尋(ひろ)の近海の岩礁の多いところに棲み、三月に産卵します。


一匹の産卵数は、四、五千に及ぶといわれており、その母体にある時は白色で、まるで米粒のように見えるので飯ダコと呼ばれるのであります。

卵から成長して生殖を営むようになるまでには約二ケ年かかると言われております。その卵があたかもご飯粒のように胴体に一杯つまっているのであります。

イイの中まで熱がとおりますためには、普通の煮ものより、やや時間をかけねばなりません。
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     ◇


飯蛸は小さいながらも足が長く、均整がとれた美しいタコだと思う。


《8本の足が描くカーブと吸盤が美しい》



こうして眺めていると宇宙人だ。

宇宙人といってもエイリアン的なタイプではなく昭和の古典的な蛸型火星人。🐙

昭和24年(1949年)に出版された『小さな天文学者』にまさにそのイメージの火星人が描かれている。
ウェルズの小説に出る火星人
火星人ロンドンに着陸(ウェルズの小説から)
地球面より三倍早く走れる




ウェルズの小説というのは、イギリスの小説家H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説『宇宙戦争(The War of the Worlds)』のことで、ウェルズはフランスのジュール・ヴェルヌと並んで「SFの父」と称される。

日本でも早くに翻訳されていて、大正4年(1915年)に出版されたものを国会図書館デジタルコレクション(『宇宙戦争』)で読むことができる。




そういえば昨年のこと、タコの遺伝子は宇宙由来の可能性があるという科学論文が発表されて話題になった。

宇宙から飛来したウイルスによってイカからタコに進化した、もしくは、2億7500万年前の宇宙から冷凍保存されたタコ胚(卵)がやってきた、という可能性を説明している。


出典:『Cause of Cambrian Explosion – Terrestrial or Cosmic?』 該当箇所はFig. 5.


100年以上前の火星人のイメージもあながち間違っていなかったのかもしれない。🤓



今日はわけぎと合わせてぬたに



讃岐白味噌でつくった酢味噌であえて出来上がり☆彡


日本の食卓に うましかて!


わけぎと油揚げのぬた


ワケギ(分葱) 学名:Allium x wakegi Araki (1950)
ネギ属の球根性多年草

ワケギはネギとエシャロットの雑種、[エシャロットの花粉]を[ネギが受粉]して生まれた。

つまり、父=エシャロット、母=ネギということだ。


そういえば、茄子がママ 胡瓜がパパ という言葉があったが、これを知っているかどうかで年代が分かる。




ワケギは「分葱」という漢字から推測されるように、種ではなく球根で増える。

また、冬になっても枯れないことから別名「冬葱(ふゆき)」というそうである。なんとも柔らかで日本的な響きである。


     ◇


さっと茹がいた緑鮮やかな分葱を、から煎りした油揚げと合わせる。(ぷっくり丸い球根部分は食べやすくスライス)



食べる直前に、からし酢味噌とさっと和えたら出来上がり



シャキシャキした球根部分とねっとりくったりした緑葉🌿
春真っ盛りの味わいである☆彡


日本の食卓に うましかて!



まて貝と分葱と牛蒡の炒めもの


マテガイ(馬蛤貝、馬刀貝、蟶貝) 学名:Solen strictus

細長い形の薄い殻を持つため
英語では「razor clam」「razor shell」と呼ばれる。

穏やかな内海の砂浜に生息し、成貝は10cm程度になる
(20cm~100cmほどの深さの砂にもぐっている)



マテガイは塩分濃度に敏感で、
巣穴に塩を入れると自ら飛び出してくる。

鴨葱(かもねぎ)ならぬ、マテガイに塩である (笑)


   面白や馬刀の居る穴居らぬ穴

              正岡子規


旬は冬から春にかけて 春の季語だ。




今日のマテガイには
「長崎産 まて貝」というラベルが貼られてあった。

全体に赤味がかった色をしているので、厳密には
「マテガイ」ではなく「アカマテガイ」であろうと思う。


ネットで調べると、「アカマテガイ」は生息数が激減したため
ほとんど流通していないとあった。




貝について こう嘆いたひとがいる。

 「それにしても、近頃の貝の情けないこと
  沿岸の海水の汚染によってか、最近は貝類の品質は低下
     (略)
  昔のように美味しい貝を、安心して食べられるような時代を
  呼びもどしたいものだとつくづく思います。」


いまから40年以上も前の辰巳浜子さん(『料理歳時記』辰巳浜子より)
料理家・辰巳芳子さんのお母様の言葉である。


     ◇


今日のマテガイは、そのまま殻で焼いて食べるには
やや心もとなかったので
殻から身を外して、砂やワタを取って丁寧に塩水で洗う。


胡麻油で生姜とにんにくを炒め、香りがたったところに
マテガイとささがき牛蒡を投入する。




分葱(わけぎ)の白い部分を追加して


酒・醤油・赤味噌・豆板醤で味つけをしたら


最後に葉先の青い部分を投入して出来上がり☆彡


日本の食卓に うましかて!





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