タケノコ(竹の子、筍)学名:Bambuseae Kunth ex Dumort.
イネ科タケ亜科タケの若芽
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毎年この季節になると筍を何度も食べるからBlogにも幾度となく取り上げて、さて今年は何を書こうかと思う。
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→ 筍の木の芽和え たけのこの白い粒々の正体
→ 筍づくし たけのこの種類について
→ 筍ご飯 それぞれの思い出、水上勉・辰巳浜子・辻嘉一
《今日は徳島県産の孟宗竹》
赤紫色のいぼいぼは根っこになるところ。色素成分は水溶性の「アントシアニン(anthocyanin)」だから、茹でると色が抜けて白っぽく灰色がかった色になる。
《今にもニョキッと出てきそう》
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孟宗竹の名前は三国時代の呉の人・孟宗にちなんでいる。
孟宗、竹林に泣けば寒中笋(たけのこ)生ず。
病に伏した母のために、母が大好きな筍を掘りに冬の竹林に入った孟宗、むろん筍があるはずもない。天を仰いで嘆き悲しんでいたら雪を穿って筍が出てきた、という親孝行の話。
出典:『家庭読本孝子画噺. 下』(大正1)
モウソウチクは筍のなかでもいち早く生じることから、孟宗の冬の筍の話をとって「孟宗竹」と呼ばれるようになったそうだ。
参考:『修身二十四孝:少年教育 雪筍児話訳』(明治24)-孟宗の堀筍-、
『お伽噺二十四孝』(明治44)-孟宗-、『芸術資料. 第一期 第五冊』金井紫雲
『お伽噺二十四孝』(明治44)-孟宗-、『芸術資料. 第一期 第五冊』金井紫雲
故事のついでに昔話をもうひとつ。
とんちで知られる一休さん、たまにはとんちで負けることもある。「筍のお葬式」では新左衛門(新右衛門)さんに軍配が上がった。
出典:『面白讀本 : 笑ひと教訓. 2年生』(昭和11)
蜷川新左衛門の庭に隣の寺から筍が生えてきた。だが無断で採って食べるのも憚られる、考えた新左衛門は大きな声でこう言った。
「断りもせずに侍の家に入ってくるとはけしからん!
無礼千万手打ちに致す」
それを聞いた一休さん、すかさず訪ねて曰く
「切られた悪い奴を寺で弔いますので死骸をお引渡しください」
いつもならここでお終いだが、新左衛門さんも負けてはいない。
「弔って頂こうと考えていましたが、お寺に手数をかけるのは申し訳ないので、こちらで火葬に致しました。せめて着物だけでもお寺で弔ってください」と、一休さんに皮だけ渡した。👏👏
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竹の林のたけのこは、
ほれば、黄いろい房がでる。
紫いぼいぼ、たけのこは、
ほれば、その根に土がある。
「たけのこ」北原白秋
(つづく)