かつ丼


カツどん【カツ丼】
豚カツを、タマネギの薄切りなどを加え、甘辛い汁で煮つけて卵でとじ、どんぶり飯の上にのせた料理。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「カツ丼

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カツ丼と聞いて思い出す文豪はといえば、やはり永井荷風氏をおいて他にいない。

最後に食べたのが「大黒屋」のカツ丼であるというのは有名なエピソードだ。




永井荷風氏は40年に渡って日記を書き続けている。(1917年(大正6年)~1959年(昭和34年))

イキイキとした日記は、敗戦後ふっつりと感じがかわり、陰鬱とした感じがつきまとうようになる。

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だが一方で、1921年(大正10年)42才のときにすでに自身の孤独死を予感してもいる。

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いつも単調なわが身の上、別に変った話のあるわけではない。

唯ただその頃までわたしは数年の間さしては心にも留めず成りゆきのまま送って来た孤独の境涯が、つまる処わたしの一生の結末であろう。

これから先わたしの身にはもうさして面白いこともない代りまたさして悲しい事も起るまい。

秋の日のどんよりと曇って風もなく雨にもならず暮れて行くようにわたしの一生は終って行くのであろうというような事をいわれもなく感じたまでの事である。
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雨瀟瀟』 永井荷風 (青空文庫)




永井荷風氏は1959年(昭和34年)4月30日に亡くなった。

ひと月前の日記をみると…

 三月十日。  雨。病臥。
 三月十一日。晴。正午大黒屋食事。
 三月十二日。晴。嶋中高梨二氏来話。病臥。大黒屋晩食。
 三月十三日。晴。正午大黒屋。
 三月十四日。晴。正午大黒屋。相磯氏来話。
 三月十五日。日曜日。晴。正午大黒屋。
 三月十六日。晴。正午大黒屋。
 三月十七日。雨また陰。正午大黒屋。
 三月十八日。晴。正午大黒屋。
 三月十九日。晴。正午大黒屋。
 三月二十日。晴。正午大黒屋。


3月1日に浅草で倒れてからは病床に伏し、亡くなる最後まで毎日の食事は「大黒屋」のカツ丼である。

胃潰瘍で亡くなるのに毎日カツ丼というのはすごい。。

4月30日の朝、通いのお手伝いさんが荷風の遺体を見つける。3月31日、最後の食事も大黒屋のカツ丼だった。






大黒屋」は昨年6月に店を閉じた。(実際の店の名前は「大黒家」だが、荷風は「大黒屋」と記している)

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そういえば、映画『濹東綺譚』で主人公・大江匡を演じた津川雅彦氏も今年8月に亡くなった。

『濹東綺譚』は永井荷風のヒット小説で、大江匡は永井荷風の分身である。


すこしずつ昭和が遠くなる。


🍲


今日はめずらしくカツ丼☆彡


日本の食卓に うましかて!
 (お味噌汁の位置が逆だった。。)



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