東京の立ち食いそば風ゆば蕎麦



うどん県で生まれ育ったので大体において関西風の味つけが好きなのだが、東京・横浜で長く暮らしているうちに関東好みになったものが三つある。

ひとつは焼き海苔。
味つけ海苔より焼き海苔が好きになった。

ふたつ目は鰻の蒲焼き。
蒸してから焼いた関東風のほうがどちらかというと好き。

そして、三つ目は蕎麦。
鰹節と鯖節のパンチのきいた出汁に関東の醤油、薬味は白ネギ、この関東風の蕎麦がなにより好きだ。

     ◇

関西の蕎麦つゆはふんわり優しく甘い。

ゆえにときどき無性に関東風のそばが恋しくなる。

といっても、自分で蕎麦を打てるわけでもなければ、蕎麦つゆをスクラッチで作る自信もない。


そこで思いついたのが「立ち食いそば」 これなら再現できるはずだ!




🍜

立ち食いそば風にするには小麦粉の多い麺を選ぶ。

小麦粉のほうが多い「そば」って「そば」なのか?という気もするが、現在の法規定はゆるやかである。

生めんの場合は、そば粉の割合が30%以上とされている。

一方、乾めんの場合は30%以下でも「そば」と表示することができる。但し30%未満の場合は使用割合を表示しなければならない。

極端な話、そば粉が1%しか入っていなくても1割未満である旨を表記すれば「そば」を名乗ることができる。



《原材料の記載が「小麦粉、そば粉」の順》
つまり小麦粉の割合が多い


今も昔も蕎麦に一家言をもったひとは多い。とくに男性は蕎麦にうるさい。

蕎麦を味わうには十割蕎麦が一番という人もいれば、しなやかさとのど越しで二八蕎麦という人もいる。二八だからといって蕎麦の風味がないわけではないし、十割の良さは切れるところにこそある、という具合だ。


「二八」というのはその名の通り、小麦粉:そば粉=2:8で打ったそばで、江戸時代初期に考案された。


出典:国立国会図書館デジタルコレクション「守貞謾稿. 巻5


『守貞謾稿』によれば「二八そば」が登場したのは寛文4年(1664年)、当時の値段は16銭(2×8=16)であった。

その後、物価の上昇とともに20銭になり24銭へと値上がりする。24銭になったのに「三八そば」とは云わない、という皮肉もみえる。




江戸時代には「二八そば」は邪道扱いされていて、ちゃんとした手打ち蕎麦屋は二八のような駄そばは売らない、という。


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従来二八、後に二十四文の物を商うを駄蕎麦と云。駄は惣て粗を云の俗語也。駄にも行灯等には手打ちと記せども、実は手打ちと云は別に精製を商う店あり。真の手打ち蕎麦屋には二八の駄そばはうらず。
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出典:国立国会図書館デジタルコレクション「守貞謾稿. 巻5



二八ですらこの言われ様なので、江戸の粋人が今の立ち食いそばを食べたら何というだろう。

当時より食品の加工技術があがっているから、意外にも美味しいといったりして...

そんわけないか (*''ω''*)



茹であがった麺はなかなかいい感じ、立ち食いそば風である。

蕎麦つゆは何度か買い試してみて立ち食いに似たものを見つけた。



今日はゆば蕎麦☆彡
トッピングが白葱なら完璧な再現になったのだが。


日本の食卓に うましかて!《なつかしい😋》


※そばの表示に関する参考資料
 「品質表示基準一覧
 「食品表示基準における加工食品の表示方法等の作成方針について
 「生めん類の表示に関する公正競争規約
 「乾めん類の日本農林規格
 「乾めん類品質表示基準