
インゲンマメ(隠元豆)学名:Phaseolus vulgaris
マメ亜科の一年草
インゲンマメの若い莢が「サヤインゲン」である。
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日本へは17世紀に明の僧侶・隠元隆琦(いんげんりゅうき)がもたらしたとされる。

Wikimedia commons:隠元和尚像 喜多元規筆
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隠元豆は長崎にては八升豆といふ 此種は承應三年唐僧隠元来朝の節持来りて本邑興福寺の内に作てこれより處々に流布す
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『長崎地名考 附録』(明治26.11)
ここに出てくる「興福寺」というのは、1654年(承応3年)に長崎に渡来した隠元禅師が最初に住職をつとめた寺である。
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インゲンマメには「サンドマメ(三度豆)」「サイトウ(菜豆)」など様々地方名があるのだが、明治時代に編纂された山口県の方言を見ると同じ県でも多くの呼び名があるのは興味深い。
多くはインゲン、エンドウ、ササゲ、サヤマメ、サンドマメが訛ったものだが、ひとつひとつ見ていくと面白い。

『山口県植物方言集』(昭和18)
カワクヒマメは莢を食べるから「皮食い豆」、トーマメは「唐豆」、ミドマメは「三度豆(サンドマメ)」の読み替えだろうか、ボーズマメはひどい言い様だが隠元和尚の「坊主」、カキマメは若い莢を収穫するから「摘む」という意味の「カク」だろう。
ショーエンドーのショーは何だろう、ナマメとカンドーマメは想像がつかない。🤓
さて話を現代に戻そう。
最近よく見かけるオマーン産のサヤインゲン。

資料を見ていて興味深く思ったのは、冬場に取れる沖縄産の多くが東京に出荷され、関西には流通しないことだ。
それをオマーン産が補う形になっていて、大阪市場の30~40%を占めている。
だから東京でオマーン産のサヤインゲンを見かけたことがなかったのだなあ。
参考:野菜ナビ「さやいんげん」 alic「さやいんげんの需給動向」

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今日は久しぶりに鶏そぼろを作ったので、オマーン産のさやいんげんとそぼろ三色丼☆彡

日本の食卓に うましかて!